よく眠れる人はなぜ元気なのか?|脳と東洋医学から考える睡眠の大切さ

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」
「以前よりイライラしやすくなった」
「些細なことで落ち込んだり不安になったりする」

このようなお悩みはありませんか?

当院に来院される患者様の中にも、首肩こりや頭痛、胃腸の不調、めまい、耳鳴りなどを訴えている方が多くいらっしゃいます。
そして詳しくお話を伺うと、多くの方に共通しているのが「睡眠の問題」です。

睡眠は単に身体を休める時間ではありません。
脳を整え、心を安定させ、身体を回復させるための大切な時間です。

今回は、睡眠不足が心と身体に与える影響について、脳科学と東洋医学の両方の視点から解説します。

本記事では「睡眠時間の不足」だけでなく、「眠りが浅い」「夜中に目が覚める」などの睡眠の質の低下も含めて睡眠不足と表現しています。

「寝不足だから機嫌が悪い」「寝不足の日は気分が落ち込みやすい」
これは気分の問題ではなく、脳の働きが大きく関係しています。

感情をコントロールする脳の働きが低下する

私たちの脳には「前頭前野」と呼ばれる部分があります。

前頭前野は、

  • 感情をコントロールする
  • 冷静に判断する
  • ストレスを調整する
  • 集中力を保つ

といった重要な役割を担っています。

ところが睡眠不足になると、この前頭前野の働きが低下することが分かっています。

不安や恐怖を感じやすくなる

一方で、不安や恐怖などの感情に関わる「扁桃体」は過敏に反応しやすくなります。
すると、

  • イライラしやすい
  • 不安感が強くなる
  • ネガティブ思考になる
  • 感情の起伏が激しくなる

といった状態が起こりやすくなります。

つまり、睡眠不足の日に気持ちが落ち込んだり、物事を悪い方向に考えてしまったりするのは、精神力が弱いからではありません。脳が本来のパフォーマンスを発揮できていない状態なのです。

睡眠中の脳は休んでいるように見えますが、実際には非常に活発に働いています。

脳の大掃除

睡眠中には、

  • 記憶の整理
  • 学習内容の定着
  • 情報処理
  • 脳機能の維持や回復
  • 脳内老廃物の排出

などが行われています。

近年の研究では、睡眠中に脳脊髄液が脳内を循環し、日中に蓄積した老廃物を洗い流す働きがあることも分かってきています。

例えるなら、睡眠は脳の大掃除です。

心と身体の回復

睡眠不足が続くと、

  • 頭がぼーっとする
  • 集中できない
  • 判断力が落ちる
  • 気分が安定しない

という状態になります。

よく眠れる人が元気なのは、身体だけでなく脳のメンテナンスがしっかり行われているからなのです。

睡眠不足が続くと、自律神経のバランスも乱れやすくなります。

本来は夜になると休息モードに切り替わる

夜になると副交感神経が優位になり、

  • 身体が緩む
  • 心拍数が落ち着く
  • 消化が活発になる
  • 自然な眠気が出る

という状態になります。

睡眠不足が続くと交感神経が過剰になる

しかし睡眠不足やストレスが続くと、交感神経が過剰に働き続け、身体は緊張モードから抜け出せなくなります。

その結果、

  • 首肩こり
  • 頭痛
  • めまい
  • 動悸
  • 胃腸の不調
  • 手足の冷え
  • 倦怠感

などが現れることがあります。

睡眠は健康の土台とも言える存在なのです。

東洋医学では睡眠を非常に重要なものとして捉えています。

「心神(しんしん)」が睡眠を支えている

重要なのが「心神(しんしん)」という考え方です。
東洋医学でいう「心(しん)」は、心臓だけを意味するわけではありません。

  • 精神活動
  • 意識
  • 思考
  • 感情
  • 睡眠

などを統括する働きを含んでいます。

そして、その働きの中心にあるものを「神(しん)」と呼びます。

また、東洋医学では、心神を安定させるためには十分な「血(けつ)」も重要と考えます。血には身体を養うだけでなく、精神を安定させる働きもあるとされ、不足すると眠りが浅くなったり夢を多く見たりすると考えられています。

心神が安定しているとよく眠れる

心神が落ち着いている状態では、

  • よく眠れる
  • 気持ちが安定する
  • 集中力がある
  • 前向きな気持ちになる

という状態になります。

反対に心神が落ち着かなくなると、

  • 寝つけない
  • 夜中に目が覚める
  • 夢を多く見る
  • 不安感が強い
  • イライラしやすい

といった状態が現れます。

東洋医学では「肝」の働きが関係する

東洋医学ではストレスによって「気」の流れが滞ると考えます。
特に関係が深いのが「肝(かん)」です。
肝には気の巡りを調整する働きがあります。

ストレスで気の流れが滞る

ストレスが続くと、

  • 気持ちが張りつめる
  • イライラする
  • 緊張が抜けない
  • 考え事が止まらない

といった状態になります。

すると夜になっても身体と心が休息モードに切り替わらず、「疲れているのに眠れない」という状態が起こります。
現代医学でいう交感神経の興奮状態と、東洋医学でいう気の巡りの乱れは、見方は違っても似た現象を説明している部分があります。

睡眠の質を高めるためには、日々の生活習慣も大切です。

朝は太陽の光を浴びる

起床後に日光を浴びることで体内時計が整いやすくなります。

朝の散歩もおすすめです。

寝る前のスマホを控える

強い光は脳を覚醒させてしまいます。

寝る30分〜1時間前はスマホやパソコンを見ない時間を作りましょう。

湯船に浸かる

38〜40℃程度のお湯にゆっくり浸かることで身体がリラックスしやすくなります。

軽く深呼吸をする

呼吸が浅くなると身体は緊張しやすくなります。

ゆっくり息を吐くことを意識してみましょう。

東洋医学的には「頭を休ませる時間」を作る

寝る直前まで考え事や仕事をしていると、心神が落ち着きにくくなります。

夜は意識的に「何もしない時間」を作ることも大切です。

睡眠の問題は、睡眠だけの問題として片付けられないことがあります。

実際には、

  • 首肩こり
  • 頭痛
  • 胃腸症状
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 慢性的な疲労感
  • 自律神経の乱れ

などが関係していることも少なくありません。

また、「眠れないことが原因で不調が出る」だけでなく、
「身体のバランスが崩れた結果として眠れなくなる」こともあります。

そのため睡眠だけを見るのではなく、身体全体の状態を確認することが大切です。

東洋医学では、不眠を単純に「眠れない症状」として捉えません。

患者様一人ひとりの体質や状態を確認し、

  • 心神が落ち着いていないのか
  • 気の巡りが滞っているのか
  • 血が不足しているのか
  • 自律神経が乱れているのか

といった背景を考えながら施術を行います。

睡眠は身体の回復力そのものに関わるため、睡眠の質が変わることで他の不調にも良い変化が現れることがあります。

睡眠不足になると、脳の感情コントロール機能が低下し、不安やイライラが起こりやすくなります。また、自律神経の乱れや身体のさまざまな不調にもつながります。

東洋医学では、睡眠は「心神」を養い、心と身体を整える大切な時間と考えられています。

もし、

  • 眠りが浅い
  • 夜中に目が覚める
  • 朝から疲れている
  • 気持ちが不安定になりやすい
  • 自律神経の乱れを感じる

という方は、睡眠だけでなく身体全体のバランスにも目を向けてみてください。

睡眠の問題は、身体からの大切なサインかもしれません。
睡眠は人生の約3分の1を占める大切な時間です。睡眠の質が変わると、心や身体の状態も大きく変わります。

なかなか改善しない不眠や自律神経の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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