【5月の健康だより】五月病を東洋医学で考える~気の巡りと心のバランス~
はじめに
新年度が始まり、入学や就職、異動など環境の変化が多かった4月。
少し落ち着いてくる5月頃になると、
- やる気が出ない
- 気分が落ち込みやすい
- 体がだるい
- 朝起きるのがつらい
このような状態を感じる方が増えてきます。
いわゆる「五月病」と呼ばれる状態です。
医学的な病名ではありませんが、新しい環境での緊張や疲れが重なり、心と体のバランスが崩れている状態と考えられています。
「なんとなく体がだるい」「やる気が出ない」などといった「五月病」とも呼ばれる症状を、今月は東洋医学の視点から紐解いてみましょう。
東洋医学における「気」とは
東洋医学でいう「気」とは、体や心を動かすエネルギーのようなものです。
気には
- 体を動かす
- 内臓の働きを保つ
- 血液や水分の流れを助ける
- 心の働きを安定させる
といった役割があると考えられています。
つまり、生命活動を維持するためのパワーそのもの。精神活動とも密接に関わっており、この「気」の状態が心の健やかさを左右します。気の状態が乱れると、体だけでなく心にも影響が現れてくるのです。
五月病の2つのタイプ:あなたはどっち?
やる気が出ない状態を、東洋医学では大きく分けて「気滞(きたい)」と「気虚(ききょ)」の2つのタイプで捉えます。
気の巡りが悪くなる「気滞」
ストレスや緊張が続くと、気の流れがスムーズでなくなります。この状態を「気滞(きたい)」といいます。
気滞の状態になると、
- 気分が落ち込みやすい
- イライラする
- 胸やお腹が張る
- ため息が増える
- 喉がつまった感じがする
といった症状があらわれることがあります。
環境の変化が多い春は、知らないうちに緊張が続いていることが多く、気の巡りが滞りやすい季節でもあります。
気が不足する「気虚」
一方で、疲れが続くことで気そのものが不足する状態もあります。これを「気虚(ききょ)」といいます。
気虚の状態になると、
- やる気が出ない
- 体が重だるい
- 食欲不振
- 疲れやすい
- 朝起きるのがつらい
といった症状が出やすくなります。
4月は新しい環境に適応しようと、無意識のうちに頑張っていることが多い時期です。その疲れが5月になって表面化することもあり、これも五月病の背景の一つと考えられます。
春は「肝」が影響を受けやすい季節
東洋医学では、春は「肝(かん)」の働きが関係する季節とされています。
肝には
- 気の巡りを調整する
- 感情のバランスを保つ
- 自律神経の働きを助ける
といった役割があると考えられています。
ストレスや環境の変化が続くと、肝の働きが乱れやすくなり、気の巡りが滞りやすくなります。
その結果、
- 気分の落ち込み
- イライラ
- 体のだるさ
といった症状が表れやすくなるのです。
心と体は「表裏一体」
東洋医学には「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。これは「心と体は一つのものの表と裏であり、切り離せない」という考え方です。
精神的なストレスは内臓(五臓六腑)に影響を与え、逆に内臓の不調は感情の乱れを引き起こします。
そのため、症状だけを見るのではなく、体全体のバランスを整えることが大切です。
鍼灸ではどのように整えるのか
鍼灸では、ツボを刺激することで
- 気の巡りを整える
- 体の緊張をやわらげる
- 自律神経のバランスを整える
といった働きが期待できます。
五月病のように、はっきりとした病気ではないけれど調子が優れない状態にも、鍼灸は役立つことがあります。
気の巡りを整えるセルフケア
五月病のような「なんとなく元気が出ない状態」は、日常生活のちょっとした工夫で楽になることもあります。
東洋医学の視点から、気の巡りを整えるセルフケアをご紹介します。
軽く体を動かす
気は、体を動かすことで巡りやすくなります。
激しい運動である必要はありません。散歩やストレッチなど、軽く体を動かす習慣をつくるだけでも気の巡りは良くなります。
特に春は気が滞りやすい季節なので、体を動かすことが良い養生になります。
深呼吸をする
ストレスが続くと、呼吸は浅くなりがちです。ゆっくりと深く呼吸をすることで、体の緊張がやわらぎ、気の巡りも整いやすくなります。
気分が落ち込みやすいときは、ゆっくり息を吐くことを意識してみてください。
食事から整える「食養生」
東洋医学では、食事も体を整える大切な養生のひとつです。気の巡りを助けるためには、香りのある食べ物がおすすめです。
セロリ、パセリ、春菊、三つ葉、しそ、みょうがなどの「香りの強い野菜」や、ミントティー、ジャスミン茶がおすすめ。香りがダイレクトに「肝」に届き、気の滞りをスッと通してくれます。
また、疲れが出ているときは胃腸をいたわる「黄色い食材」(かぼちゃ、さつまいも、じゃがいも)や、ごはん、豆類などが元気を補ってくれます。
最後に
5月は、新しい環境での緊張が少し落ち着く一方で、これまで頑張ってきた疲れが出やすい時期でもあります。
「なんとなく調子が優れない」と感じたときは、無理をせず、体と心を整える時間を大切にしてみてください。鍼灸では、体全体の状態をみながら気の巡りを整え、心身のバランスを調えていくことを大切にしています。
季節の変わり目は、体調もゆらぎやすいもの。
春から初夏へと移り変わるこの時期、どうか無理をせず、ご自身の体と心の声にも耳を傾けてみてください。

お問合せ・ご予約
ご予約・お問合せは公式LINE, しんきゅうコンパス, お問い合わせフォーム, お電話にて承っております。
ご不明点や不安な点、些細なことでもお気軽にどうぞ。
ネット予約・お問い合わせフォームは24時間承っております。

