体調に敏感な人と鈍感な人 ― 東洋医学的にみる「気づける体」と「我慢できる体」
日々施術をしていると、
- 少しの違和感にもすぐ気づく方
- かなり悪化するまで自覚がない方
この二つのタイプに分かれることを強く感じます。
自分の体の変化に対する「センサーの感度」は人それぞれ。敏感すぎると疲れやすく、鈍感すぎると大きな病気を見逃すリスクがあります。どちらが良い・悪いという話ではありません。東洋医学の視点で見ると、それぞれに体質的な背景があります。
体調に「敏感」な人
― 気の動きに鋭いタイプ
少しの冷え、疲れ、睡眠不足、ストレス。わずかな変化でもすぐに体に表れます。

東洋医学的特徴
- 気の巡り(特に肝気1)が影響を受けやすい
- 自律神経の揺らぎを感じ取りやすい
- 血虚2・気虚3傾向で、回復力がやや繊細なことも
「肝」は気の巡りを司る臓です。
ストレスや緊張の影響を受けやすい方は、肝気が過敏に反応しやすい傾向があります。
そのため、
- 動悸
- めまい
- 胃腸の不調
- 耳鳴り
- 不眠
などが比較的早い段階で現れます。
1. 「肝」は、気の巡りをコントロールする働きを持つと考えられています。肝気が乱れると、イライラ・ため息・胸のつかえ・喉の違和感などが出やすくなります。ストレスの影響を受けやすいタイプに関係する概念です。
2. 「血」が不足している状態のことをいいます。顔色が白い、めまい、目の疲れ、爪が割れやすい、不眠などが起こりやすくなります。体や心に十分な“栄養”が行き届いていないイメージです。
3. 「気」のエネルギーが不足している状態です。疲れやすい、声が小さい、風邪をひきやすい、やる気が出ないといった特徴があります。体を動かす力や、回復する力が弱っている状態と考えるとわかりやすいです。
メリット
- 早期発見・早期対処ができる
- 大きな不調になる前に整えられる
- 自分の体を大切にする意識が高い
東洋医学では「未病(みびょう)」という考え方があります。病気になる前の小さなサインを察知できることは、とても大きな強みです。
デメリット
- 不安を増幅させやすい
- 「気にしすぎ」によってさらに気が乱れる
- 小さな変化を“悪いもの”と捉えてしまう
- 自律神経が過敏になりやすい
東洋医学では「気は意によって乱れる」と考えます。気にしすぎること自体が、さらに気の巡りを滞らせることもあります。
体調に「鈍感」な人
― 我慢できてしまうタイプ
多少の疲労や痛みでは動じない。仕事や家事を優先して、体のことは後回し。
一見とても強く見えるタイプです。

東洋医学的特徴
- 気滞4(気の滞り)に気づきにくい
- 瘀血5や痰湿6が蓄積しやすい
- 脾胃7に負担がかかりやすい
「まだ大丈夫」が続きすぎると、体はある日突然ブレーキをかけます。
体が発している小さなサインを感じ取れないため、
- 慢性的な肩こり
- 突然のぎっくり腰
- 強い耳鳴り
- 自律神経の大きな乱れ
といった形で「限界を超えてから」表面化することがあります。
4. 「気」の巡りが滞っている状態です。胸やお腹の張り、ため息、イライラ、喉のつかえ感などが出やすくなります。ストレスや緊張が続いたときに起こりやすい状態です。
5. 「血」の流れが悪く、滞っている状態をいいます。肩こり、慢性的な痛み、くすみ、冷え、生理痛などと関係することがあります。“流れが悪い血”が体にとどまっているイメージです。
6. 体の中に余分な水分や老廃物が溜まっている状態です。むくみ、重だるさ、めまい、頭がすっきりしない感覚などが出やすくなります。水分代謝がうまくいっていないサインと考えられます。
7. 「脾」と「胃」は、食べたものを消化し、体のエネルギーや血を作る働きを担うとされます。食欲不振、胃もたれ、疲れやすさなどは脾胃の弱りと関係します。体をつくる“土台”となる大切な部分です。
メリット
- ストレス耐性が高い
- 多少の不調に振り回されない
- 行動力がある
デメリット
- 気づいたときには深くこじれている
- 本人が重症度を自覚しにくい
- 限界を超えてから来院する
- 回復に時間がかかる
東洋医学では、気滞が長期化すると血瘀8に移行すると考えます。つまり「巡りの問題」が「滞りの問題」に変化していくのです。
8. 意味は瘀血とほぼ同じく、血が滞っている状態を指します。使われ方としては、体質や傾向を表現する際に用いられる言葉です。
自律神経との関係
敏感な方は
→ 自律神経の振れ幅を自覚しやすい
鈍感な方は
→ 振れ幅が大きくても自覚しにくい
どちらも自律神経が乱れていないわけではありません。“感じ取れるかどうか”の違いなのです。
理想的なのは「気づける強さ」
東洋医学で大切にしているのは、気血が巡り、過不足がない状態。
敏感すぎても消耗し、鈍感すぎても滞ります。
理想は、
- 小さな変化に気づける
- でも、必要以上に不安にならない
- 無理をしない
- でも必要以上に制限しない
このバランスです。
施術の役割
施術は、単に症状を取るためのものではありません。
敏感な方には
→ 気を安定させ、安心できる土台を作ること。
鈍感な方には
→ 巡りを整え、体の声を感じられる状態に戻すこと。
体との距離感を整えることこそ、治療の本質だと考えています。
あなたはどちらのタイプですか?
どちらも間違いではありません。大切なのは、「自分はどちらに傾きやすいのか」を知ること。
敏感な方は
→「安心して任せる力」を育てること。
鈍感な方は
→「小さなサインに耳を傾ける習慣」を持つこと。
どちらのタイプでも、体はきちんと応えてくれます。
自分の体の声を、怖がらず、無視せず、ちょうどよく聞けるようになること。
それが、本当の意味での「整う」という状態だと、私は思います。

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